進化する歯科素材コンポジットレジンのお話
白い詰め物で自然な仕上がり
お口の中に金属の詰め物があって嫌だなあと思っている方も多いかと思いますが、ここ10年間で歯科材料も飛躍的に進化し、そんなお悩みも解消できれるかもしれません。それは審美的にも機能的にもすぐれた“夢の歯科素材”として注目されているコンポジットレジンによる治療です。
コンポジットレジンとはプラスチックの中にセラミックやシリカ(ガラス)の粉末を合わせた複合材料で、こうした粉末を混ぜることで硬度がアップし治療にも積極的に用いられるようになりました。
患者さんからの満足度が高い治療としても知られますが、その最大の理由は白い素材なので金属の詰め物のようにぎらぎらせずに仕上がりが自然で美しいということがあげらます。さらにはむし歯になっていない健康な歯の部分を極力、削らないように治療することが可能なことです。金属などの詰め物であれば、詰め物やかぶせ物を入れるためにむし歯の周囲も大きく削らなければなりませんが、コンポジットレジンの場合は専用の器具を使ってむし歯の部分だけを取り除き、そこに接着材を塗りコンポジットレジンを充填すればよいので感染の危険性も少なく最小限の治療が可能なのです。結果的に歯を多く残すことができ、歯の寿命を伸ばす治療だといえます。
むし歯を取り除いた部分に充填したコンポジットレジンに強い光(専用のLED)を3秒から10秒あてることで固まるので、治療時間は約30分以内で終了します。型取りとその型取りによる詰め物を製作する工程なども必要ないため、通院回数は通常は1回で済みます。しかも保険が適用されるのでセラミックなど自費治療に比べて費用がかかりません。
治療する側からいうとペースト状の軟らかい素材なので自由度が高く、むし歯の形に合わせて修復しやすいという点で金属よりも圧倒的に便利です。
金属アレルギーの心配がない
ただし、コンポジットレジンも万能ではなく、プラスチックであるため噛み合わせなどにより強い力がかかると破損したり、経年使うことで摩耗なども起きやすく、セラミック等に比べて着色や変色など経年劣化も起きやすいといえます。
ただ、破損したり変色したりしても容易に修正ができるので、治療後は定期的に検診を受けて早期に対応することでリカバリーが可能です。
むし歯の進行具合ではコンポジットレジンの治療が適応にならない場合もあります。むし歯が大きく広がっていたり、隣り合う歯の境目に大きく広がった虫歯などです。
むし歯は作らないことが理想ですが、万が一、できた場合でも初期の段階であればコンポジットレジンでの治療が可能ということから、定期検診による早期発見が有効であるということがいえます。
コンポジットレジンでの治療が歯を削る部分を最小限にでき、金属アレルギーの心配もいらない、からだにやさしい治療といえます。