歯の白さ、輝きの秘密
歯はなぜ白く輝くのか
輝く白い歯”といえば、爽やかさの代名詞ともいえますが、そもそも歯の白さや輝きはどのようにして生まれるのでしょうか?
それは歯を構成している物質と深く関係しています。歯は中心部に神経が通っていて(歯髄)、その周囲を象牙質、さらにその上をエナメル質が覆っています。この一番外側のエナメル質は厚さ1o前後と薄いのですが、身体の中でも最も硬い組織といわれ、石英とほぼ同じくらいの硬度といわれています。象牙質はエナメル質よりもやややわらかく弾力性があります。どちらもハイドロキシアパタイトが主成分でエナメル質の97%、象牙質の70%を占めます。
ハイドロキシアパタイトといえば、歯磨粉に配合されて有名になりましたが、歯の輝きにはこのハイドロキシアパタイトによるところが大きいといえます。歯の美しさはこのエナメル質と象牙質の織りなすハーモニーといってもよく、エナメル質が半透明なゆえに下の象牙質の、文字通り“象牙色”が透けて見えるからなのです。ハイドロキシアパタイトを透過する光がその下の象牙質に当たって拡散することで自然なつやと透明感を与えています。
エナメル質が半透明なのは、ハイドロキシアパタイトが結晶化して規則正しく並んでいるためで、ちょうど眼の水晶体のコラーゲン繊維が規則正しく並んでいて透明に見えるのと同じ現象です。
なめらかなのにはわけがある
髪の毛のキューティクルとその下の毛皮質の関係も同様で、キューティクル自身は無色透明で、その下の毛皮質の色を反映して輝いています。ただ、表面を覆うキューティクルが傷んだり剥がれたりすると髪の輝きが失われますが、歯のエナメル質も同様です。
エナメル質の表面がなめらかなのは見た目の美しさだけではなく、機能的にも理由があり、歯の表面をつるつるにしておくことでプラークなどの汚れをできるだけ着きにくくしているのです。エナメル質の表面がざらざらしてつやが失われると歯の美しさがそこなわれるだけでなく、初期むし歯ができやすくなります。ですから歯がつやつやと輝いているのは、むし歯を寄せ付けない健康な歯の証拠といえます。
“歯は骨とどこが違うのか”という質問もよくでますが、骨と歯の象牙質とはハイドロキシアパタイトとコラーゲンという構成成分もその割合もほぼ同じで、硬さも同程度です。ただ、骨には血管が通っていて新陳代謝を繰り返して常に新しい骨が作られています。そのため骨折しても固定しておけば骨が再生されてくっつきますが、歯は一度むし歯になって穴があいてしまうとけっして元には戻りません。そのため、治療を受けて人工物で修復するしかないのです。歯が貴重なものであることが実感されますが、普段のメンテナンスをしっかり行って生涯を大切に使っていきたいものです。