日本人の「噛む力」にイエローカード
最も「噛む力」があるのはシニア女性
よく噛むことによってさまざまな健康効果が得られることがわかってきましたが、実際に現代人はどれくらい噛んでいるのか、噛むことに対する知識、意識は高まったのか──。昨年12月に株式会社ロッテでは全国47都道府県ごとに20代から60代の男女100名(計4700名)を対象に、“噛む”ことに関する調査「全国“噛む力”調査」を行いました。
栄えある「噛む力」1位に選ばれたのは秋田県で、2位福島県、3位は福岡県と大分県が同率で続きました。上位県の特徴としては秋田県と福島県はともに噛むことの「意識」「行動」「知識」の3要素のどの設問においても得点が高かったことがあげられ、3位の福岡県は「よく噛むこと」を意識している割合と、実際に夕食時一口あたりに「20回以上噛む」割合が最も高ことから上位にランクインしています。
一方、「やわらかい食べ物」を多く食べている人の割合が74%と最も高かった富山県は「噛む力」が最も低いと判定されました。
男女年代別では60代女性が最も「噛む力」が高いという結果になっています。シニア女性のあの元気パワーは噛む力にあったのかと思わず合点したくなります。一方で、40代男性が最も低い結果となりました。
同じく40代男性は、「食事の際に『よく噛むこと』を意識していますか」という質問に対して、「あまり意識していない・まったく意識していない」と回答した割合が70%と噛むことへの意識についても低いことがわかりました。働き盛りの40代は食事や体調管理にまで気を配る余裕がないのかもしれません。
一口30回を目指しましょう
今回の調査でわかったのは日本人の「噛む離れ」が予想以上に進んでいることです。専門家によると一口当たり30回以上噛むことが推奨されていますが、今回の調査では夕食時の一口あたりに噛む回数が20回未満の人が8割以上と、大半の人はよく噛まずに食事をしていることがわかり、食生活やライフスタイルの変化が進んでいることを裏側づける結果となりました。
「噛む」ことは健康的に生活するうえで欠かせないことであり、口内環境の健康維持だけでなく、脳の活性化による認知機能の改善や集中力の向上、ストレスの軽減をはじめ、肥満防止や唾液のよるアンチエイジング効果などさまざまな効用があります。毎食時の積み重ねだけでこうしたメリットが得られるのですから、これほど効率のよい健康法もありません。一口30回を目指してしっかり噛みしめていきたいものです。