歯ぐきの退縮にブレーキを
歯ぐきが下がって見える原因
口もとの悩みの中で歯ぐきが気になる方はけっこういらっしゃいます。とくに年齢とともに「歯ぐきが下がってきて前歯が長く見える」、「すきっ歯のように隙間ができて見栄えが悪い」等等。
このように歯ぐきが下がって歯の根元の方まで見えてしまうことを“歯肉退縮”といいます。歯肉退縮は見た目が悪いというだけでなく、歯の表面を覆う硬いエナメル質がない象牙質の部分が剥き出しになるのでむし歯や知覚過敏になりやすいなどトラブルを起こしやすいので早めの対処が肝心です。
加齢にともなって歯ぐきがやせてくるということも確かにあります。歯ぐきの60%はコラーゲン(タンパク質)で構成されていて、コラーゲンは加齢に伴って減少するからです。歯ぐきの場合は10年で2o程度退縮するといわれています。
こうした加齢による歯肉退縮はいわば生理的なものですが、それとは別に疾患等によって起きる場合があります。その原因の一つは歯周病であり、もう一つは間違ったブラッシングによるものです。
歯周病は歯肉の炎症から始まりますが、症状が進むと歯を支えている歯槽骨という骨まで溶かして破壊していきます。歯の根元で支えている骨が失われていくので次第に歯ぐきの高さがなくなり、それに伴って歯槽骨を覆う歯肉も下がって見えるというわけです。
間違った歯ブラシの方法というのは力が強過ぎる場合で、歯肉に負担がかかり歯肉が下がる原因になります。
強すぎるブラッシングはNG
歯肉退縮を起こさないために、普段のブラッシングは歯ブラシを軽く持って歯と歯肉の境を意識してプラーク掻き出すように小刻みに動かします。出血や腫れている場合も、プラークを放置せずに除去する必要があるので軟らかめのブラシを使ってやさしくブラッシングしください。
プラークが少ない状態を維持できれば、歯周病の進行を食い止め、歯肉の退縮にもブレーキをかけることができます。
現在は歯肉の移植を行うことで歯肉の改善も可能ですが、歯周形成外科手術という高い技術が必要になります。手術となるとたいへんになりますので重症化する前に、歯肉の退縮に気づいたら年齢だからと放っておかずに歯科を受診して歯周病が原因であれば治療することが肝心です。
口元の健康は白い歯だけではなく、歯を支える歯ぐきも大切な役割を果たしています。若々しい口元を維持するためにも、毎日の丁寧なブラッシングを積み重ねていきたいものです。