間食はむし歯のリスクを高めます
食欲にブレーキが効かない状態
むし歯のリスクを高める生活習慣の一つに間食があげられますが、とくに食後、食間の甘い物がやめられないという方は少なくないのではないでしょうか。この甘いものがやめられない理由が最近研究報告されて話題です。
チョコレートやクッキー、ポテトチップス等は砂糖や油(油脂)が多く含まれている高カロリーの食品ですが、高脂食品を食べるとヒトは美味しい、うれしい、幸せと感じます。このときに脳内にドーパミンという神経伝達物質が放出されますが、このドーパミンはヒトが気持ちよい(快感)と感じた時、またはそれが期待できそうと感じた時に分泌される脳内物質です。砂糖や脂肪の多い食べ物、ジャンクフードなどを食べることでこのドーパミンが大量に放出され摂食中枢が刺激されることで食欲がさらに促されます。一方、満腹中枢など食欲を抑制するシステムの方は圧倒されてしまい、アクセルだけでブレーキの効かない車のようになってしまうわけです。人類がかつて経験した食糧がなかなか得られない過酷な時代には、食べられるときにお腹いっぱい食べて脂肪として体に蓄えるというこの仕組みは有効でしたが、現在のような飽食の時代には逆に肥満を促すシステムとして働いてしまうわけです。
肥満者の脳はドーパミンを受け取る受容体の数が減少していることもわかりました。そのため、「食による快感」が得られにくいため、より美味しいものを、より大量に食べることで満足感を得ようとします。その結果、さらなる肥満を招くという悪循環に陥ってしまうのです。甘いものや高脂肪の食べ物がドーパミンの受容体数を減少させる理由についてはまだ、よく分かっていませんが、ドーパミン受容体の減少は薬物依存症のヒトの脳でも認められていて、「食べ過ぎを止められない」という症状は薬物依存症と似ているという衝撃的な事実もわかってきました。
予防が大事
砂糖や脂肪の多いスイーツやジャンクフードは依存症を招く可能性があるため、甘く見てはいけないということがわかります。お口の中の健康にも影響があり、とくに甘いものを間食として取ると、お口の中が酸性に傾くため、歯の脱灰を起こしやすく、むし歯のリスクを高めます。
食後、歯を磨いたらそれ以降は間食をしないというのがベストですが、やむを得ないときは甘い飲み物も含めて間食の回数はできるだけ少なくして、だらだらと食べ続けないように気をつけることが肝心です。それだけでもむし歯のリスクも大きく減らすことができます。