その歯のくすみの原因は?
色素の多くはポリフェノール
年末年始は美味しいお料理が並びお酒も進む楽しい機会が多いのですが、口腔ケアも欠かさずしっかりしておきたいものです。普段から丁寧に歯を磨いていても歯のくすみや汚れが気になるという方もいらっしゃるかもしれません。この歯のくすみはステインといって歯の表面についた着色汚れで食品に含まれる色素のほか、喫煙や漢方薬の色素やうがい薬の色素が原因です。
とくに赤ワインやコーヒーなどはその代表例ですが、こうした食品に含まれる色素の多くはポリフェノールといって植物が持つ苦味や色素の成分です。抗酸化作用が強いので動脈硬化など生活習慣病の予防にも効果があるとされている成分です。緑茶のカテキン、コーヒーに含まれるクロロゲン酸類、チョコレートなどのカカオに含まれるエピカテキン、カレーのスパイスに使われるウコンのクルクミンなどもポリフェノールの一種です。
赤ワインは健康によいとされるのは多数のポリフェノールが含まれているためですが、アントシアニンという赤い色素が多く含まれるため、着色汚れが生じてしまうのです。また、ポリフェノールの一種であるタンニンはお茶に多く含まれますが、カルシウムや鉄のような金属イオンやタンパク質などと結びつきやすいので食品中の色素や有機物を歯の表面に沈着させ、これもまた歯の着色汚れの原因の一つとなります。
普段からこまめに歯ブラシを
そもそも、なぜ歯にステインがついてしまうのかといえば、歯の表面にはペリクルという唾液タンパク質の膜ができて歯を守る一方この膜は色素を吸着する性質があるため、ポリフェノールの色素と結びついて着色汚れとなってしまうのです。この汚れは時間とともに固まり水にも溶けないため、うがいや歯ブラシなどで簡単に取り除くことはできません。そのため毎日歯みがきをしていても少しずつステインがついて歯の黄ばみやくすみの原因となってしまうというわけです。
ステインを取り除こうと強く歯を磨くと汚れが落ちないだけでなく、逆に歯の表面を傷つけその小さい傷から着色汚れが染みてより深く沈着してしまうことにもなりかねません。
ステイン予防のためには普段からこまめに歯ブラシをし、その際、歯ブラシが歯と軽く接触するくらいの力の加減でけっして強くブラッシングしないことです。喫煙による黄ばみも含め、歯科クリニックでの歯の清掃で除去することができますので定期的に受診され自然な歯の色を保つことをお薦めします。