健康によい鼻呼吸のすすめ
新型コロナウイルスについて
先月に引き続き新型コロナウイルスの話題ですが、感染は日々拡大を続け、感染者が確認された国と地域はすでに100を超えました。日本は中国、イタリア、イランとともに「最大の懸念」(3月2日、WHOの事務局長)と指摘されるなど深刻な事態を迎えており、政府もウイルスの封じ込め対策に追われています。
鼻呼吸の効果
今回はそうした感染症予防に欠かせない鼻呼吸について取り上げます。本来、呼吸は鼻からするものなのですが、ヒトの場合は口呼吸もできてしまうため、そのデメリットも同時に受け取っているといえます。ちなみに口呼吸ができる動物はヒトだけです。
鼻呼吸のポイントは鼻腔(鼻の奥から喉にかけての空洞)の構造にあるといっても過言ではありません。その空洞は粘膜細胞で覆われていて表面には細かい繊毛がびっしり生えていて、この繊毛がホコリの粒子や花粉、化学物質、細菌やウイルスを絡め取って外に排出してくれます。吸い込んだ空気は鼻腔を通過する間に温められ、湿気を含んだ状態で肺へ送られることで肺への刺激を和らげています。
一方、口呼吸の場合は外気が直接のどから肺に入るので細菌やウイルスまで吸い込んでしまうというリスクがあります。つまり、鼻腔は自前の高性能マスクといえ、その天然マスクを通さない口呼吸に比べて鼻呼吸は圧倒的に有利といえます。
たくさんの酸素を採り入れなければならないランニングなど激しい運動の際は別ですが、口呼吸は百害あって一利無しといってよく、のどを痛めやすいばかりでなく、口の中が乾燥しやすく唾液の自浄・殺菌作用が低下するため、むし歯や歯周病になりやすかったり、口臭が強くなったりします。
口呼吸の原因と解消法
口呼吸を防止し本来の鼻呼吸を習慣化するための方法として、口の周囲の筋肉(口輪筋)を鍛えて口元を閉じやすくする体操があります。口を大きく開けてあ〜、い〜、う〜、べ〜と言うだけですが、口の周囲の筋肉や舌を意識して大きく動かすことを心がけてください。声に出す必要はなく、1日に30回ほど続けるとかなり口元が引き締まってきます。
睡眠中の口呼吸を防止するために唇にサージカルテープを貼る方法もおすすめです。上下の唇を閉じて上から縦に貼ってください。最初に気になるかもしれませんがそのうちに慣れてきます。寝ているうちにとれてもかまいませんが、口を閉じて寝る習慣をつけるために続けてみてください。
朝、口の中が乾燥しているやいびきをかくという人も口呼吸をしている証拠です。いびきは舌の位置がノドの方に下垂することにより気道が狭まり、そこを空気が通るときに生じます。
口呼吸の原因には蓄膿症や鼻炎などによる鼻詰まりの場合もあります。また、お子さんの場合はアデノイド肥大により口呼吸にしている場合があります。そうした場合には治療が必要ですので耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。
子どもの頃から口呼吸を続けていると下あごが後ろに引っ込み前歯が出るいわゆる出っ歯や、前歯が噛み合わない開咬になるなど歯並びにも影響を与えるので早期発見で口呼吸の癖を治すことをおすすめします。
※サージカルテープは医療用テープのことで薬局などで販売しており、かぶれにくいためにおすすめです。