歯は大切な資産

歯一本はの資産価値はどれくらい？

一昔前には歯科医院は「歯が痛くなってから行くところ」でした。今も忙しいからなどの理由でなかなか定期的に歯科医院には足が向かないという人も多いかもしれません。ただ、欧米の歯科医療の先進国では「悪くならないように普段から行くところ」という意識が定着しています。つまり、治療ではなく予防のために定期的に通うという発想です。欧米の人たちがいかに歯を大切にしているかがわかりますが、では実際に歯に資産価値があるとしたらどれくらいなのか、一般財団法人日本予防医学協会では“歯一本の価値”について各方面にアンケートをしています。

予防が大事

歯科医師の回答は一本104万円というもので、親知らずを除いた歯の総数28本の合計で2,913万円という金額がはじき出されました。この中には噛み合わせや、歯並びを揃える費用等も含まれているそうです。
交通事故で歯を失ってしまった場合などの賠償請求額は、一本80万から120万円という判例があるそうなのでそれに照らし合わせるとほぼ妥当な金額といえそうです。
一方、アメリカの一般的な人の回答はもっと高額で歯一本は500万円の価値としています。
気になる日本人の回答ですが、歯一本は約35万とかなり低い金額に見積もられ、アメリカ人の考える資産価値の1割にも達しません。この差はどこから来るのか興味深いところですが、健康保険制度により治療費の負担が原則3割で済む日本に比べて、全額自己負担のアメリカでは気軽に治療が受けられないとう背景が影響しているのかもしれません。歯の治療費が日本の5～10倍と高額になるので歯そのものの価値も高いという認識されるのではないでしょうか。実際に虫歯の治療に20～30万円とかかるそうなので、日頃から口腔ケアを十分に行い、できるだけ治療費用がかからないようにするというのもうなづけます。ですから“歯が痛くもないのに歯医者にはメンテナンスに行く”──これが正解なのであり、じつに利にかなったことなのです。日本の場合は国民皆保険制度によっていつでも安価に治療が受けられるという安心感が予防への意識にブレーキかけているのかもしれません。
アメリカ人の発想からすれば、お口の中に28本の歯があれば、1億4,000万円の資産をお持ちだということになります。このかけがえのない資産が目減したり、失うことのないようにしたいものです。この資産を維持するためにはセルフケアとプロの定期的なメインテナンスの両方が欠かせません。症状が出てから治療するのではなく、とくに問題がないときにこそ予防に取り組むという発想の転換がなにより必要だといえます。