神経を抜いた歯は枯れ枝のような状態に
歯を失う原因は大きく分けてむし歯と歯周病といわれています。ただ、最近、増えてきているのがむし歯でも歯周病でもない第3の原因によるものです。
それは歯が割れたり、折れたり、歯根にひびが入るなど歯そのものが破損してしまうケースです。このような歯を破折歯といいます。硬い歯がなぜ?と思うかもしれませんが、意外にも歯がもろくなってしまう原因が身近にあるのです。
“神経を抜く治療”あるいは“歯の根のお掃除”といった治療を受けたことがある方は多いと思います。専門的には歯内療法(根管治療)といいますが、むし歯が歯の中心部を通る歯髄と呼ばれる歯の神経の奥深くにまで達してしまった場合、歯髄をきれいに取り除く治療を行います。歯根は温存されるので支柱を立ててかぶせ物をすることで再び噛めるようになります。ただ、歯に栄養や水分などを送る役割を果たしていた歯髄がなくなってしまったため、残された歯はいわば“枯れ枝”のような状態といえます。枯れ枝は生木と違ってポキリと折れやすいように、歯髄を取り除いてもろくなった空洞部分からひびが入り、歯根が縦に割れてしまう原因となります。
そのほかの原因としてブリッジによって土台となる歯に過重な負担がかかっている場合や歯ぎしりや歯を食いしばりなども考えられます。硬い物がお好きでよく食べる方も要注意です。
メタルコアという金属の支柱を立てて差し歯の土台にしている場合もひび割れを起こしやいといわれています。そのため最近ではファイバーコアといって金属ではなく、弾力性のあるファイバーグラスを素材にした支柱も開発されています。
抜歯せず温存の可能性のある接着治療
破折歯は抜歯をした後にブリッジや義歯、あるいはインプラント治療のいずれかの治療が行われるのが通常でしたが、最近は破折歯をできるだけ保存するために接着法という治療法が開発されています。人体に害のない接着剤をひびの部分に流し込み修復する方法です。破折が大きい場合にはいったん抜歯して取り出してから歯を接着し、口腔内に戻す再移植という方法も開発されています。マイクロスコープの活用や高性能な接着剤の開発により実現できたといえます。ただ、破折してから時間が経てばそれだけ治療が難しくなるので、早期発見早期治療が有利であることにはいうまでもありません。
歯根にひびが入ると、ひびの部分から細菌が入って歯ぐきが腫れたり、痛みが出る場合が多いのですが、初期の割れはじめの段階では自覚症状もなく、レントゲンでもわかりにくい場合があります。また、虫歯や歯周病の場合も歯根破折を併発していることがあるので、定期的な健診により歯科医によるチェックを受けることが大事です。
ちなみに予防歯科が進んだスェーデンではむし歯や歯周病が克服されているためで、歯を失う原因はむし歯や歯周病ではなく、破折歯が第1位であり、全体の約6割を占めます。日本でもこうした傾向は徐々に認められてきており、破折歯の治療法として接着法への注目度が高まっています。
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