歯ぎしりしていませんか?
歯ぎしりは全身不調の原因にも
睡眠中の歯ぎしりについてご家族から指摘されたという方もいらっしゃるかもしれません。就寝中なので自分では気づきにくくいのですが、起床時にあごがだるかったり、歯に痛みや違和感がある場合は夜間に歯ぎしりをしている可能性が高いと考えられます。
この歯ぎしりのときの噛みしめる力はどれくらいかというと、睡眠中という無意識で抑制が効かない状態にあるため50〜100kgを超え、ときには300sもの力がかかるといわれています。通常の食事のときは数kgから30kg程度ですから、いかに破壊的な力であるかがわかります。歯が削れたり、破砕したり、ひびが入ったりするほか、歯肉への負担から歯周病を引き起こしたり、顎関節症をはじめ、頭痛やあご・肩の痛み、腰痛やひざ痛にも関与しているケースがあることが報告されています。
食物繊維は新たな歯ぎしり対策に期待
歯ぎしりの原因は科学的にはっきり解明されておらず、多くの場合はストレスと考えられていますが、最新の研究で歯ぎしりと食物繊維との摂取量との意外な関係が報告されており、話題をよんでいます。
岡山大学とノートルダム清心女子大学の研究グループによる報告で、両大学の学生を対象に口腔内診査のほかアンケート調査と筋電計を用いて睡眠中の歯ぎしりの有無を調べ、さらに、過去1カ月間の35種類の栄養摂取量を推定し、歯ぎしりの有無との関連性を探っています。研究の結果、歯ぎしりをする学生としない学生を比較したところ、睡眠中に歯ぎしりをする大学生は食物繊維の摂取量が少ない傾向にあることがわかりました。実際に食物繊維摂取量が多い上位25%と下位25%を比較したところ、睡眠中に歯ぎしりをする学生はしない学生に比べ、有意に食物摂取量が少ないことが確認されたとのことです。
これまでの歯ぎしりの対処方にはマウスピースの装着による歯の保護のほか、矯正治療による噛み合わせの改善などが主に行われていますが、今回の研究報告が新たな歯ぎしり対策の方法を確立するきっかけになるのではと期待されています。
同研究グループは睡眠中の歯ぎしりは浅いノンレム睡眠時に起こりやすく、睡眠の質が低いときに起こりやすいということも突き止めています。
食物繊維の摂取量については20代の若者も含め日本人は不足しがちなので、普段から食物繊維豊富なメニューを心がけ、就寝前のスマホ利用を控えるなど熟睡できるよう睡眠習慣、睡眠環境の改善を図ることは歯ぎしり予防にも効果的といえそうです。