台風が来ると歯が痛くなる?
天候と歯痛の意外な関係
人の体調も天候に左右されるというのは気のせいではなく、実際に頭痛がしたり、だるくなったり、気分が抑うつ的になったりすることがあることがわかってきました。とくに気管支喘息、脳梗塞、うつ病、リウマチ、関節痛など気圧や気温との関連性が徐々に明らかになってきています。確かに梅雨の時や台風の通過後は痛みを伴った急性症状のために病院を受診される患者さんが増えるという経験は多くのドクターが経験されているようです。
じつは口腔内も同様に気象の急激な変化による影響を受けているという研究報告がなされ、注目を集めています。
症状のピークは台風通過の2日後
研究結果を報告したのは岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の森田学教授、竹内倫子助教らの研究グループで、“飛行機に乗ると歯が痛くなる”と以前からいわれている現象に着目した森田教授が、歯周病の悪化と天候との関係を調べ始めたのか研究のきっかけといいます。同研究グループでは同大学病院歯科で歯周病ケアを受けている患者約2万人をを対象に調査しました。痛みや腫れなどの急性症状の発症と風速、気圧、日照時間、雨量、温度、湿度などの気象状況と照らし合わせて解析をしたところ、気温、気圧が慢性歯周炎の急性的な症状の変化に関わっていることが判明しました。具体的には台風が通過した2日後、気温が大きく変動した日の翌日に慢性歯周炎の症状が悪化した人が多いことがわかりました。
詳しいメカニズムはまだわかっていませんが気象の人体への影響として気圧、気温は交感神経に影響して末梢血管の血流障害を起こす可能性があり、気圧はホルモン分泌に関連してアドレナリン等は歯周炎関連細菌の増殖に影響している可能性があるとしています。
竹内助教は「将来は天気予報のように“歯周病注意報”が出せる仕組みを作りたい」と話しています。これから台風シーズンがやってきますが日頃から天気予報を気にかけて、台風到来前は歯周病やむし歯など口腔内の衛生管理を徹底して、気になるところがあれば歯科医院に受診するなどして未然にトラブルを回避したいものです。