サッカー同様、歯並びにもチーム力が発揮される
それぞれの役割が異なる歯
4年に1度のW杯サッカーも終わり、一抹の寂しさを感じつつも、2年後の東京オリンピックに向けてすでに気持ちを切り替えていらっしゃる方も多いことと思います。今回のサッカーの話題は当初の予想を裏切る“おっさんジャパン”の活躍でした。その好成績の理由の一つに団結力ということがいわれ、若手から中堅、ベテラン選手まで目標に向かって一つにまとまっていたというわけです。団結力はチーム力と言いかえてもいいと思うのですが、歯科の観点からすると、このチーム力は私たちの歯並びによく現れています。
サッカーのポジションでは後ろからゴールキーパー、ディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードと大きく4種類に分けられ、それぞれ役割が異なりますが、永久歯の場合も同様でその形によって切歯、犬歯、臼歯の3種類に分類できます。
切歯とは前歯のことで読んで字のごとく、食べ物を噛み切る働きがあります。中央の2本を中切歯、その隣の歯を側切歯といいます。
犬歯は先が尖っていて食べ物を切り裂くのに最適な形をしています。根も一番長く頑丈なので、歯の寿命も一番長いといわれています。犬歯は噛み合わせの目印となっていて下あごの位置を定め、正しい噛み合わせに導いています。
臼歯には小臼歯と大臼歯があり、臼のような形をしていて食べ物をすりつぶす役割があります。それだけでなく、上あごの第1小臼歯は下あごの固定に重要な歯で、第2小臼歯は噛み合わせの安定を保つ歯といわれています。
小臼歯の奥に第1、第2、第3と3本の大臼歯があり、第3大臼歯は俗に言う“親知らず”です。第1大臼歯は6歳頃に生えて来るので6歳臼歯とも呼ばれます。永久歯の中で最も大きく、噛む力も一番強いため、食べ物を噛むために最も大事な歯といわれています。噛み合わせの高さを決め、それを保つ役割も果たしています。第2大臼歯は12歳前後に生えて来るので12歳臼歯ともいわれます。
レッドカードをもらわないように
硬い食べ物であれば前歯で噛み切り、それを臼歯にで砕いたり、すりつぶしたりして唾液で混ぜ合わせ、ある程度のかたまりにして喉に送り込みます。舌や頬の筋肉などのアシストを含めてまさにお口の中のチームプレーといえます。
永久歯は親知らずを入れて32本ありますが、1本1本にはそれぞれ役割があり、調和を持って配置されているのです。歯列全体がアーチ型をしているのも、お互いに支え合うことで強度を増し、安定した歯列を保つためです。
サッカーは11人の選手が揃ってこそ、チームの力が発揮できます。私たちの歯列も1本欠けても本来の力が発揮できません。むし歯や歯周病で歯を失うのはレッドカードで退場になるようなもの。歯は私たちの健康を支えるかけがえのない存在です。日々の歯ブラシと定期的な歯科医院でのメンテナンスで、1本でも欠けることのないよう大切にしたいものです。