テレワーク中のコロナ太りを防止する食事法
咀嚼音が食欲を抑制するという新説
新型コロナの影響で外出自粛や通勤日数が減るなどして毎日の運動量が減少している方も多いかと思います。体を動かす機会が減るとそれだけカロリー消費も減少するので、同じだけ食べていたのでは肥満の原因となります。いわゆる“コロナ太り”ですが、その対策として有効なのがゆっくりとよく噛んで食べるということす。基本的なこととなりますが、食事をよく噛みしめて味わうということが大切です。
このことを証明するような面白い実験があります。アメリカのブリガムヤング大学のライアン・エルダー博士らの研究ですが、騒々しい環境音と、静かな環境の違いで食事量に変化があるのかを比較しています。実験では人が大声で話す喧噪や音楽が流れる環境音と、静かな雰囲気の環境音とをそれぞれ10分間ヘッドフォンで聞かせて、その間にプレッツェルを提供してその食事量の違いを調査しました。プレッツェルはカリッとした食感のある焼き菓子ですが、自由に好きなだけ食べてよいということを被験者には伝えてあります。大きな環境音を聞いていたグループは平均4個なのに対し、静かな環境音のグループは平均2.75個とプレッツェルを食べた量が1個以上少ないという結果になりました。提供する食品をほかのものに変更した実験も行われましたが、2つのグループで最も差が出たのはクランチ感がありサクサク、バリバリという咀嚼音が発生する食品のときだったそうです。
静かな環境音で食事をしたときは食事量が減り、さらには食べたときに音(咀嚼音)がする食品は3割以上も食べる量が減ったという結果に博士らも驚いたそうです。静かな環境の方が食事に集中できて、食事をしたことを脳が認識しやすく、咀嚼音という聴覚からの刺激によってさらに満腹中枢を刺激して食べ過ぎをおさえることにつながったということなのかもしれません。これまで「味」や「香り」、「食感」といった要素は、食事量に影響を与える可能性が示されていましたが、咀嚼音に着目した研究がなかっただけに興味深い結果といえます。
食事は静かな環境でよく噛んで
周囲が騒がしかったり、テレビなどを見ながらの食事は集中できず、無意識に料理を口に運んでしまってついつい食べ過ぎてしまうということがよくあります。しかも咀嚼音なども聞こえづらくなっていることも確かです。食事に集中しない“ながら食べ”なども過食につながる可能性があるので気をつけたいものです。
もう一つ、食べ過ぎに関係する研究ではテンポの速い曲と遅い曲とを聞かせた場合、食べる量に違いがでるかどうかを調べた実験があります。結果は速い曲を聞かせたグループの方が遅い曲を聞かせたグループよりもたくさん食べていたそうです。これは音のテンポが速いと満腹中枢への刺激が鈍くなることが原因だと考えられています。
流れているBGMが違うだけで食べる量に差がでてくるということにも驚かされますが、やはり食事は静かな環境で五感をフルに発揮してよく噛んで味わいながら食べるというのが肥満防止にもなり健康によいようです。